合同会社イノベイション

ABS樹脂の溶剤接着とは しくみと、外注するときに確かめたいこと

公開

ABS樹脂の部品を、ぴったり合わせて一体にしたい。そんなときに使われる方法の一つが「溶剤接着」です。

この記事では、2003年からABS樹脂のルアーボディの溶剤接着を続けてきた立場から、溶剤接着のしくみと、中が空洞の部品を接着するときに大切な浸水の検査、外注するときに確かめたいことをご紹介します。

当社でお受けする範囲
  • 事業者様からのご依頼のみお受けしています
  • お客様にご用意いただいた製品・部品・資材への作業のみお受けしています
  • 部品の手配や成形、デザイン・印刷(パッド印刷を含む)、塗装、海外への発送は、お受けしていません
この記事の要点

・溶剤接着は、溶剤で表面を溶かして、部品どうしを一体にする方法
・中が空洞の部品は、すき間があると水が入る
・接着のあとは、時間をおいてから浸水を確かめる
・水漏れの原因は、接着とは限らない(部品の成形の場合も)
・外注するなら、試作・検査の条件・記録を確かめる

01溶剤接着とは

溶剤接着は、溶剤でプラスチックの表面を溶かして、部品どうしを一体にする接着の方法です。表面がいったん溶けて混ざり合い、溶剤が抜けると、そのまま固まってつながります。

ABS樹脂は、この溶剤接着がよく使われる樹脂の一つです。ただし、樹脂の種類によって向き・不向きがあるので、材料と形を確かめてから進めます。

当社の場合

中が空洞になったABS樹脂の部品を、左右から合わせて溶剤接着しています。これまでの実績は、ルアーボディと、ABS樹脂でできたナイフの保護ケースの接着です。接着剤・溶剤を使う作業は、有機溶剤作業主任者の資格を持つ代表のもと、社内で行っています。

02中が空洞の部品は、すき間から水が入る

ルアーのように、中が空洞の部品を左右から合わせて接着する場合、ほんの小さなすき間でも、そこから水が入ります。見た目ではわからないすき間もあるため、接着したあとに確かめることが大切です。

浸水がどこから起きるのかは、コラム「ルアーの浸水クレームはなぜ起きるのか」でもくわしくご紹介しています。

03接着のあとは、時間をおいて浸水を確かめる

接着した部品は、時間をおいてから、温水に沈めて確かめる方法があります。温められた中の空気がふくらみ、小さなすき間があれば、そこから泡が出ます。

当社の場合

社内規格 QS-001 にもとづき、接着したものを24時間以上おいてから、全数を60℃±5℃の温水に30秒沈めて検査しています。抜き取りではなく全数です。一般的なサイズのルアーで、1,000個を約3時間で検査します。不合格品は補修せず廃棄し、出荷するのは検査に合格したものだけです。

04水漏れの原因は、接着とは限らない

水漏れが見つかっても、原因が接着にあるとは限りません。部品そのものに、成形のときの巣・ソリ・ヒケ・気泡などがあると、そこから水が入ることもあります。どちらが原因かを切り分けないと、同じ不良がくり返されます。

当社の場合

水漏れがあれば、接着の不良なのか、部品そのものなのかを切り分けてお伝えします。部品の異常に気づいたら、その日のうちにお電話・写真・現物でご報告します。

05外注するときに確かめたいこと

  • 試作から始められるか(少ない数で、接着と検査を試せるか)
  • 検査は全数か、条件は決まっているか(温度・時間・おく時間)
  • 不合格品をどう扱うか(補修して出すのか、出さないのか)
  • 水漏れの原因を切り分けて伝えてくれるか
  • 検査の記録が残るか(成績書を出してもらえるか)
当社の場合

試作は10個から、量産は1ロット1,000個からお受けしています。検査の記録は全ロット分を保管し、検査成績書はご要望に応じて発行します。部品の成形はしていません。お客様にご用意いただいたABS樹脂の部品を接着します。

質問の例

「まず10個で、接着と浸水の検査を試してもらえますか」

Q&Aよくあるご質問

ルアー以外のABS製品も頼めますか?

ご相談ください。これまでの実績は、ルアーボディと、ABS樹脂でできたナイフの保護ケースの接着です。形・大きさ・材料によってお受けできるかが変わるため、サンプルをお送りいただき、試作10個で確かめるところから始めます。

浸水の検査は、どのように行いますか?

社内規格 QS-001 にもとづき、24時間以上おいたあと、全数を60℃±5℃の温水に30秒沈めて、泡が出ないかを確かめます。

部品の成形もしてもらえますか?

いいえ。部品の成形はしていません。お客様にご用意いただいたABS樹脂の部品を接着します。

お見積りには、どれくらいかかりますか?

サンプルが届いてから3営業日以内に、お見積りと納期をご提示します。ご相談・お見積りは無料です。

個人でも頼めますか?

申し訳ありませんが、事業者様からのご依頼のみお受けしています。

06まとめ

ABS樹脂の溶剤接着は、溶剤で表面を溶かして、部品どうしを一体にする方法です。中が空洞の部品では、接着のあとに時間をおいて浸水を確かめ、水漏れがあれば接着か部品かを切り分けることが大切です。外注するときは、試作から始められるか、検査の条件と記録を確かめておきましょう。

ABS樹脂の溶剤接着・浸水検査の外注のページや、コラム「溶剤接着の受託先を選ぶときに確認したい5つの工程管理基準」もあわせてご覧ください。

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